第4章 疑心暗鬼(シリアス)●灰谷蘭、竜胆
「おいおい、そんなに暴れたら余計興奮してくんだろ・・・?」
男が私の顎を抑えキスをしてこようとしてきたその時だった。
周りがざわざわし始め空気が張り詰めるのが分かった。
その方向を見ると二つの影が私に向かって歩いてきていた。
二人ともスーツを着ており、少し身長差がある。
先ほどまで運び込まれた者たちを偉そうに成敗していた者たちはその二人の姿を見るや否や道を開けるように退き頭を下げた。
明らかにここにいるものとは違った雰囲気を醸し出していた。
二人が2メートル先まで近づくと、私の目の前にいた男は彼らの姿を目の当たりにしてスクっと立ち上がる。そして皆と同じように頭を下げる。
「そこ、退いてくんない」
背の高い方がそう言うとすぐに男は退いた。
二人が私を見下ろす。
「こいつ、貰ってくから」
再び背の高い方の男がそう言う。
そこでようやく私に用があるのだと分かった。
諜報部隊で失敗を犯した者は生きて帰れない。ましてや隊長の私が。
まだこの地獄が続くのか、と諦め絶望した私はそこで意識を失った。