第2章 そのひと時は悲しき思い出(切)●河田ナホヤ
「やべぇ・・・また来るなコリャ」
彼はそう呟き、「ちょっとわりぃ」と突然私の両耳を塞ぐ。
するとまたものすごい雷音が響く。彼がぐっと眼がしらに力を入れるのが見えた。
耳を塞がれていた私にはわずかな地鳴りのみを感じていた。
「マジでなんだこの天気・・・」
ゆっくりと耳から手が離される。
ようやく彼のしたことが分かった私は突然恥ずかしくなっていた。
「でもナイスタイミングだろ」
私の気持ちも知らず二カっと笑いかける。
私たちは天候が落ち着くまで二人で教室で過ごした。
彼は2つ隣の教室で寝ており、最初の雷で叫び声をあげた私に気が付き、様子を見に来たという。
話が弾みだし、彼が明るく、人の気持ちの分かる人だと分かってきた。
雨はすっかり止んだ。
「あ、雨やんだね、帰ろう」
初めて話した時の彼に対する苦手意識はすっかり消え去り、私から彼に声を掛けた。
彼もうなずき、玄関まで二人で一緒に行く。