【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第7章 君との距離
大胆すぎる自分の行動に、火照った頬を両手で冷やしながら、舞台袖に走った。
僕も足りないってなに!!!?
それは、安室さんもキスしたいってこと?!
わたしのこと、どう思ってるの…
はぁ…とため息をつきながら到着したわたしを見て、スタッフが警察の人を紹介する。
「あ!Lilaさん。
こちら、警視庁の佐藤さんと高木さんです」
「初めまして。捜査一課の佐藤です」
「高木です」
「は、初めまして。
え、捜査一課って…確か殺人事件担当ですよね?」
あの、ドラマとかでよく見るあれ?!
そう思いながら戸惑っていると、後ろからさっきまでわたしとキスをしていた彼の声が聞こえる。
「恐らく毛利先生が口利きしてくれたんでしょう」
「あ、安室さん!」
ぼっとまた顔を赤くしたわたしを、スタッフのみんなは驚いたように目を丸くして見てくる。
当然だ。
基本的には完全無欠のアイドル、アーティストのLilaだもん。
こんなにあたふた顔を赤くしてるわたし、見せるの初めてだ。
「ええ。毛利さんから、ストーカー被害のことは聞いていましたし、今日通報のときに脅迫状を何通も受け取っていたとおっしゃったいたので、私たちが」
「天井のライトを調べましたが、何者かがネジを緩めた形跡がありました」
高木刑事が手帳を見ながらそう言う。
「ネジを緩めたって…ここの武道館の関係者が…?」
山岸さんが汗をハンカチで拭いながら不安そうに聞いたのを、高木刑事が答える。
「いえ。今日ここにはフラワースタンドを設置する花屋や、スタッフに用意する弁当屋など、人の出入りが激しかったので、その中に一般人が紛れていても不思議ではないかと」
「今日のところは、これ以上捜査のしようもないですし、また何か有ればすぐに110番してください。
なるべく人と一緒にいて、1人にならないように」
そう言い残し、高木刑事と佐藤刑事は念のためと言って、スタッフの指紋を採取して帰っていった。