【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第7章 君との距離
そして、安室さんが目を閉じているのをいいことに、わたしはゆっくりと彼に顔を近づけていく。
どうしよう。
止められない。
「リラ…?」
安室さんが痺れを切らして目を開けようとした瞬間、わたしは安室さんの唇に自分の唇を重ねた。
「っ…」
驚いた安室さんから、小さな吐息が漏れる。
心臓が動き過ぎて止まりそう。
数秒口付けて、ゆっくり離すと、安室さんの瞳と目が合った。
顔が熱い…
「…ごめん…なさい…あの…」
沈黙が怖くて、とりあえず謝ったわたし。
どうしよう。
もしかして、引いてる?
チョロい女だって思ってる?
いろんな可能性を必死にシミュレートしていると、突然椅子に座っていた安室さんが立ち上がった。
そして今度は安室さんがわたしの頬に手を添えながら言う。
「そんなので、足りますか?」
安室さんの目が、どこか挑発的で思わずドクッと胸が鳴った。
そして、もう片方の安室さんの腕がわたしの腰を抱いた。
足りますか?なんて聞いておいて、逃げられないよ…これじゃ。
わたしの答えを聞く前に、徐々に安室さんの顔が近づいてくる。
唇が重なる寸前で寸止めされ、わたしは観念して本音を漏らす。
「…足りない…」
「…僕も、足りないよ」
そして、安室さんの唇がわたしの唇に重なった。
「っん……」
さっきよりも、お互いの唇の味を確かめるみたいに、何度も啄んで、角度を変えてキスをした。
「あ…むろさ…」
「ん?」
キスをしながら、彼の名前を呼ぶと、安室さんが優しく首をかしげた。
どうして、キスするの?
そう聞きたかったけど、聞いてしまったらもうキスをしてくれない気がして、聞けない。
わたしのこと、好きになって…
そう願いを込めて、安室さんの唇の味を刻みつけていた。