【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第7章 君との距離
好き。
そう思ったと同時に、わたしは安室さんの背中に腕を回して、彼の身体にぎゅっと抱きついた。
「怖かったな…もう、大丈夫だから」
安室さんはわたしの身体を抱きしめながら、髪を撫でて耳元で優しい声で言う。
違うよ。
怖かったんじゃない。
安室さんに抱きつきたくて仕方なかったの。
邪な理由だ。
安室さんから名残惜しくも身体を少し離し、安室さんを見ると、頬から少し血が出てる。
「安室さん!血が…」
「あぁ。大したことないですよ。気にしないで」
「だめ!!楽屋で手当てしよ?」
わたしは落ちてきたライトの処理や警察への連絡は山岸さんに任せ、安室さんの手を引いて楽屋に向かった。
安室さんを楽屋の椅子に座らせると、救急箱を取り出し、絆創膏を探す。
「本当に、大丈夫なのに…」
「だって…わたしのせいで怪我させたから…」
そう言って探し当てた絆創膏を紙から剥がしながら言った。
「目、閉じて?」
「はい」
言われた通り、すんなり目を閉じる安室さん。
座った安室さんが、立ってるわたしを少し見上げるようにして上を向く。
まるで、キスする前みたい。
顔立ちが綺麗だから、目を閉じた顔を見るとドキッとする。
思えば毎日逆を向いて寝てるから、寝顔も見たことなかったな…
まつ毛、長い…
綺麗な顔…
安室さんの頬に絆創膏を貼ったあと、わたしはその上から安室さんの頬に手を添えた。