【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第53章 Epilogue ☆
零のRX-7が到着した場所は、見覚えがあった。
「ここ…」
「あぁ。ちょうど空いてたから。
またここに戻ってたんだ」
そう。ここは、わたしと零が初めて一緒に住んだ部屋。
もともとは零が一人暮らしをしていて、わたしのストーカー調査のために同居させてもらうことになったあの家だ。
懐かしい…
あの頃は、零の言動全てが新鮮だった。
今まで付き合ってきた人より、何倍も何百倍も優しかったから。
部屋番号も、前とおんなじ場所。
本当に、出会った頃のようだ。
「どうぞ」
「おじゃまします」
零に招かれるがまま中に足を踏み入れると、部屋いっぱいに零の匂いが広がって、また泣きそうになった。
わたし、ここに帰ってきたんだ…
そう思った時、後ろから零がわたしの身体を力一杯抱きしめた。
「っ…零?」
「夢みたいだ…リラが、この家にいる…」
そう言う零の声が、少し震えているように聞こえた。
「零…わたしも、夢みたい…
この家にまた帰ってこれた…しかも、零の腕の中にいる…」
「…リラ…」
零の方を見ようと振り返った時、零はそれを阻止するかのように唇を重ねた。
「んっ…れい…」
「リラ…ん…」
触れるだけのキスを重ねて、だんだん甘いキスに変わっていく。
思わず零の首に頭を回して、わたしからもキスを返して、2人の吐息が何度も漏れた。
「んっ……ん…」
「リラ…」
キスをしながら零がわたしをベッドの方へ誘い、気付けばわたしはすとんとベッドに腰を下ろしていた。
その間も、キスは止むことなくさらに甘く濃密になり、舌が絡み合った。
「んんっ…ん…ぁ…」
「っ…ん…」
くちゅ… ちゅく…
舌が絡む音と、零の柔らかい舌の感覚がわたしの思考回路を停止させる。
キスをしただけでイッてしまいそうになるほど、甘くとろけそうなひと時だ。