【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第51章 優しい彗星
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零へ
こうして手紙を書くのは、思えば初めてだね。
わたしにとってのラブレターは全部楽曲だったから、それで零にたくさん想いを伝えてきたつもりだけど
思い返してみれば、わたしは零に自分の気持ちの半分も伝えられてなかった。
初めて会ったときから、零はずっと優しかったね。
そして、強かった。
わたしが毎日、強くあろう。
弱いところを見せないでいよう。
そう思っているのがバカバカしくなるほど、零は何もかも完璧な人間だった。
だけど、本当は誰よりも孤独だったよね。
強いが故、優しいが故に、弱さを誰にも見せられなくて、誰よりも完璧であろうと一人で暗闇の先頭を走ってた。
わたしはそんな零の孤独に寄り添える唯一の人間になりたかった。
あの日、わたしの歌を聴いて泣いてくれた零を見て、心からそう思ったよ。
零はわたしに色んなことを教えてくれた。
愛しいと思う気持ちも、嫉妬する時の心が痒くなるあの感覚も。
キスの仕方もそれ以上も。
零といると、毎日幸せで、こんな幸せがこれからもずっと続きますようにって何度も願ってた。
零に結婚しようと言われた時は、こんなに幸せなことって他にないと思ったよ。
だけどもうタイムリミットなんだね。
ねぇ零
もしもわたしがLilaじゃなくてただの雨宮リラだったなら、今もわたしは零の腕の中にいられた?
もしそうなら、Lilaを捨てられなかったわたしのせいだね…
わたしは、Lilaを世界一有名にして見せる。
Lilaの曲を世界中に届ける。
絶対に夢を叶えるって約束する。
もし、そんな日が来たら、その時は
また零のところに帰ってきてもいい?
ただの、雨宮リラに戻ったら、また一緒に…
なんて
最後になるけど、零のこれからが、明るく愛に溢れた未来になりますように。
零がどこにいても、幸せでありますように。
元気でね、さよなら
雨宮リラ
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