【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第51章 優しい彗星
翌朝
「よし!荷物はOK。あとは、パスポートも持ったし…」
そう言って身の回りのものを確認したわたし。
いよいよ、この家とも日本とも、零ともサヨナラだ…
そう思った瞬間、足がすくむような気分になったけれど、わたしはすぐに顔を横に振った。
「だめだめ。しっかりしろ、わたし」
そう言いながら部屋を出て行こうとしたとき、ふとあることを思い立ち、わたしはまたリビングに戻ると机の上に紙とペンを取り出した。
この部屋に、零が帰ってくることはないかもしれない。
そう思いながらも、零に最後の言葉を手紙にしたためた。
これを零が読むかどうかもわからないけれど。
書き終わったわたしは、それを封筒の中に入れて机の上に置いたまま、トランクを抱えて部屋を出た。
「さよなら、零」
そして、たったひとりで見知らぬ国へと旅立つため、空港へと向かった。
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