【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第51章 優しい彗星
次いで、店内の女性客もキャーキャーと大パニックに陥る。
「亜蘭様だ!!やっば!!超イケメン!」
「か…かっこい…」
芸能人が、突然一般人の群れに現れたらそりゃこんな大騒ぎにもなるか…
そんなことを呑気に思っていると、藤亜蘭は何故か僕の肩を抱きながら梓さんに話しかけた。
「あのさ、このイケメン店員、ちょっと借りてもいい?」
「は?!ちょっと!なんですか突然!
僕はこれでも忙しいんですよ!?」
「あんたに用事。
な、いいだろ?お姉さん」
「ハイ…もちろ………って!ダメ!ダメです!!これから忙しい時間帯なんですから!」
梓さんは完全に藤亜蘭に目をハートにして、危うく了承しそうになるのを紙一重で回避した。
「ということですよ。
ほら、離してください。」
「だーめ。
…じゃあこれ。安室さんのレンタル料。
50あれば足りるだろ?」
そう言って藤亜蘭はポアロのカウンターに10万円の札束を5束積み重ねて置いた。
リラの事務所の社長といい、芸能人は一体どんな金遣いをしているんだ…
リラは、絶対そんなことしなかった。
…と、またリラのことを思い出している自分に呆れてしまう。
本当に、どうしようもなく引きずってるな…
梓さんは明らかに僕の1日の時給よりも高額なレンタル料を目の前にして、うーんと悩んでる。
「まあ、これならオーナーにも怒られないだろうし…
でも、お金と引き換えに従業員仲間を売るってどうなの?!」