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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第50章 Last Kiss




安室side

ポアロのバイトを終えた僕は、スーパーに寄り道して、風見のマンションへと帰宅した。


風見が帰ってくるまでに、夕飯の用意でもしておいてやるか。

そう思いながら慣れた手つきで包丁を握っていると、風見が帰ってくる音がした。


「おかえり」

「ふ!降谷さん!」


上司の僕がキッチンに立っているのを見た風見は、慌てて僕に走り寄ってきた。


「降谷さんに料理なんてそんな恐れ多い…」

「いいから。君は、普段外食ばかりだろう?
たまには栄養バランスを考えた食事を摂ることも大事だ」

「なるほど…
だから、作っているもの全部ヘルシーなものばかりなんですね!」

「え…」


風見にそう言われ、自分の手元で出来上がった料理を見ると、全部野菜中心のメニューばかり。

そして、リラが好きなものばかりだった。


「…無意識だったよ」


重症だな…
僕からフッたくせに、リラのことを忘れる気なんか全然無いみたいじゃないか。


「…降谷さん?」

「食べよう。温かいうちに」


後悔はしていない。
どちらかが、どちらかの誇りを捨てるのか
それともお互いがお互いと歩む未来を捨てるのか

それ以外の選択肢は、いくら考えても見つからなかった。

ただひとつだけ、やってしまったなと思うことがある。

リラに、愛していると伝えてしまったこと。

言うつもりはなかった。
これきり、会えなくなるのだから。

けれど、最後の言葉をサヨナラで終わらせたく無かったんだ。
だから、愛してるとリラに今まで伝えて来なかった言葉がこぼれ落ちた。

これで、きっとリラの心は普通に別れるよりもさらに傷ついたに違いない。

最低だ…
どんなに考えても、自分を蔑むことしか浮かばない。



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