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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第50章 Last Kiss




思えばわたしの人生の中で、隣に零がいたのはほんの一瞬だけ。

けれど、この先何十年も何百年も一緒にいて、いつかわたしの人生のほとんどが零でいっぱいになって欲しかった。


わたしは、零とずっと
一緒にいたかった。

運命の相手だと、思ってた…



そのとき、バンドの伴奏が始まりわたしは一音一音、つぶやくように歌い始めた。

どうしてだろう。
零との毎日を歌った曲じゃないのに、まるで零との別れの歌みたい…

Aメロを歌い終わり、Bメロを終えてサビに入る時、わたしの目から涙が溢れた。


「君を愛してる」なんて歌えない


「っ…ぅ…ぇえ…」


まるで幼い子供のように、その場で泣き崩れたわたし。

伴奏と、バックコーラスに乗せて、顔をぐしゃぐしゃにして泣くわたしの声だけが、スタジオ内に響いていた。


零…

あなたが好きだと言ってくれたわたしの歌は、あなたがいないと歌えない。

たった一瞬、まるで彗星のこどくわたしの前に現れて、見えるすべてを明るく照らしてくれた零を愛してる。

愛してるのに…

今は、深い深い海の底に沈められて息もできない。


わたしの生放送のステージは、残り2分間ずっと泣き続けたまま終わった。







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