【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第7章 君との距離
安室side
一曲目は可愛いアイドルソング
もう随分前にアイドルは卒業したのに、歌うときの表情、声、ダンス、仕草、全て可愛くて、客とのコールと一体化している。
凄い。
たった一瞬で、会場をピンク色に変えた。
会場の端から端まで走って動いて観客を盛り上げているのに、ピッチは少しもずれない。
毎日ランニングしている成果だな…
それに、リラ自身、ものすごく楽しそうだ。
歌が本当に好きなんだと伝わってくる。
一曲目を歌い終わると短いMCに入った。
「みんなー!こんにちは。Lilaです。
今日は来てくれてありがとう!」
そう言って大きく礼をすると、会場がまた湧く。
「めちゃくちゃ久しぶりに歌ったんだけど、どうだった?まだアイドルいける?」
\イケるーー!/
「ほんとにー?
まあ、でもわたしももう23ですから。
大人になったよ?みんなもそうでしょ?
15のときから8年追いかけてくれてる人もいると思う。
今日は今まで駆け抜けて来た時間をじっくり思い出せるようなセットリストになってるから。
最後まで、よろしくね!」
ワァアア
観客の歓声とともに、二曲目が始まった。
袖から客席を見ると、Lilaを見て感動して泣いてる子もいる。
最前列にはLilaの名前の刺繍が入った特攻服を着ているファンもいる。
わかるよ…
彼女は僕にとっても、眩しい。
文字通り、輝く彗星で、ずっと光り輝いていて欲しい。
僕がどこにいても、すぐにリラの歌声が聞けるように、ずっと表舞台で歌い続けていてほしい。
そう思った。
必死に自分の気持ちに蓋をして。