• テキストサイズ

【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第50章 Last Kiss




安室side


深夜3時を過ぎた頃、僕はとあるマンションの一室のドアの前にいた。


ピンポーーン

インターフォンを鳴らしたその表札には「風見」と書かれてある。


「はい…?」

「風見か。降谷だ。」

「ふ、降谷さん!?」


インターフォン越しの風見が心底驚いているのが顔を見なくても分かった。
当然だ。
こんな真夜中に、突然上司が押しかけてきたんだから。


「すまない…訳を聞かず、少しの間泊めてくれないか」

「え…えぇ。構いませんが…」


僕の只事じゃない様子を風見も感じ取ったのか、すぐに駆け寄ってきて玄関ドアを開けてくれた。


「降谷さん…」

「悪いな、風見。この借りは必ず返すよ」


そう言って中に入り、靴を脱ぐ僕に、風見は心配そうに声をかけた。


「…いえ…いつも降谷さんにはお世話になっていますから…
そんなことより、大丈夫ですか?」

「?何が?」

「…とても、辛そうな顔をしているので…」


辛そうな顔…
風見にすぐに見抜かれるとは、僕もまだまだだな…


「…何でもないよ」


そんな、すぐにバレる嘘をついた僕は、風見の部屋のソファーに腰を下ろした。

リラは、ちゃんと山岸さんに拾われただろうか…

今日あの場所で、リラに別れを言うことは決めていた。
最大限に正しいと思う選択肢を取ったんだ。


僕の恋人じゃなく、世界の歌姫になって欲しい。

それはリラの歌声を守ると決めた、僕の使命だったから。






/ 945ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp