【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第49章 守りたいもの
そんな僕に、松田が笑い飛ばしながら言う。
「らしくねぇな。
どれを選んでも、後悔はきっと残る。
一番大事なのは、零の気持ちだろうがよ」
「僕の気持ち…」
「ま、自分の気持ちをいつも最優先にしてる陣平ちゃんに言われてもねぇ?」
「あぁ?!萩!なんか言ったか?」
そんな言い合いすら、懐かしくて泣けてくる。
「降谷。いいんだよ、間違ったって。
降谷が正しいと思う方を選べばいい」
「班長…」
正しいと思うことなんて、ひとつだ。
「ゼロ…
ゼロの中では、答えはもうあるんじゃない?」
「ヒロ…」
「リラのこと、頼んだよ」
そう言ってみんなが優しく笑った。
そして、だんだんぼやけて見えなくなっていく。
嫌だ…
もっとみんなと話したい。
声が聞きたい。
もっと…
ハッと目を覚ますと、外はもう明るくなっていた。
どうやら酒を飲みながらソファーでうたた寝をしてしまっていたらしい。
ふと自分の頬に触れると、僕の目からは涙が溢れている。
あぁ、夢だったんだ。
そう悟った時、無性に寂しくて僕は思わずリラが眠るベッドルームに向かった。
ベッドの中ですーすーと寝息を立てて眠るリラ。
僕はまるで小さな子供みたいに、ベッドに潜り込むと眠るリラを後ろから抱きしめた。
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