【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第49章 守りたいもの
それから零との距離がだんだん近づいて来て、近づいたと思ったら、見えなくなって、素直になれなくて
やっと気持ちが通じ合った時は、こんなに幸せなことは二度とないと思った。
そこから、降谷零という本名を知って、初めて身体を重ねた時、生きてきた中で一番幸せだと感じた。
あっさりと、幸せの上限を零が塗り替えたの。
それから、辛い時も、苦しい時も、零がそばにいてくれた。
嬉しい時、楽しい時も、隣で零が笑ってくれた。
わたしにとって、降谷零という存在が、もはや、なくてはならないものになった。
今までも、そしてきっとこれからも。
「…リラ…」
ふと名前を呼ばれて、わたしはゆっくりと目を開けた。
視界には、零がわたしの顔を覗き込んでいる様子が映る。
「れ、零!おかえり!」
「ただいま。
いいよ、起きなくて。そのまま寝てて?」
零の姿を視界にとらえ、慌てて身体を起こそうとするわたしを零は優しくベッドに寝かせた。
「でも…」
「今、もう夜中の3時だし。
僕もすぐにベッドに入るから。ほら、おやすみ?」
零の声はいつもと同じで優しくて、ゆっくりと髪を撫でられながらそう言われると、わたしはまたスッと眠りに落ちて行った。
零の香りが、微かに鼻に残った気がした
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