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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第48章 都会の光の中で ☆




そんな気持ちが錯綜していた気がする。

唇を離して、「リラ」と名前を呼んで彼女の目を見つめると、僕の口から自然と言葉がこぼれた。



「結婚しようか」



リラは驚いた様子で目を見開くと、その宝石みたいな瞳から大粒の涙をこぼした。

泣いてくれたのが、単純に嬉しかった。

僕との未来を、リラが心待ちにしていてくれたみたいに感じて、胸が踊った。


首を縦に振って欲しい。
うん。と一言でいい。

そしたら、ポケットに箱のまま忍ばせているこの指輪を左手の薬指に通してあげよう。

リラのイエスを聞きたかった。


そんな僕の独りよがりな思いとは裏腹に、リラは何かを考え込んだように俯いた。


リラが今、何を考えているのか想像もできなくて、想像するのが怖くて
僕は思わず誤魔化すようにリラの頭を撫でた。



「ごめん。
突然こんなこと言われても、すぐに返事出来るわけないよな。
仕事のこともあるだろうし、…ほら、芸能人って誰かと結婚するのに事務所の許可とかも要るだろうし。」


そう言ったのは、自分にそう言い聞かせたかったから。

リラがすぐに返事をしなかったのは、きっと仕事の調整とか色々と考えなければいけないことがたくさんあるからで、アメリカに行くのを迷っているわけじゃない。

そう、思いたかったんだ。


結局、指輪は渡せなかった。
僕のポケットに寂しく残ったまま、この日リラの指に通ることはなかった。


それでも、リラを離したくない。
離れたくない。


頑なに、そう思っていたんだ。



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