【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第48章 都会の光の中で ☆
リラは照れ隠しなのか、景色を指差してまたワザと高い声を上げた。
「あっちは日本武道館だね!」
「ふ…こんなに喜んでくれるとは思ってなかったよ」
「だって、夜に来たの初めてだもん!
前は……一度、お兄ちゃんと零と3人で来たよね?
あの時はお昼だったし、人もたくさんいたし!」
リラがあまりにもはしゃぐから、僕も一緒になって夜景を見下ろすととても果てしない気持ちになった。
この眩しい光の中に一体どれだけの人間が生きてるんだろう。
その中でリラと今こうしてこの景色を見ているのは、一体何%の確率だ?
そう思うと、愛しくて、ずっとこのまま一緒にいてほしくて、僕は思わずリラを抱き寄せた。
「零…?」
「不思議だな。
この宝石みたいな光の中には、何十万人という人がいて、その中でリラに出会えたのはどれほどの奇跡なんだろうな。」
「…奇跡…」
リラはそうぽつりと呟いて、同じように宝石のような東京の街を見下ろした。
僕がこれから守っていくのは、この光の中にいる大勢の人々と、隣にいる最愛の人。
こんなたった2つの腕で、守り切れるだろうか。
そんな一瞬の迷いを吹き飛ばすかのように、僕は未だに夜景に夢中なリラの方を見た。
「リラ…こっち向いて?」
「?」
可愛い顔して目を丸くして僕の方を向いたリラの左頬に右手を添えると、僕はゆっくりとリラの唇を奪った。
もともと、交わるはずのない二人がこうして今同じ時間を過ごしてる。
こんな奇跡がこれからもずっと、永遠に続けばいい。
リラを、離したくない。
離れたくない。