【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第48章 都会の光の中で ☆
しばらくして、店員が戻ってきて一つの指輪を差し出した。
「こちら、明日から展示される予定だった新しいデザインのものなのですが、ご購入いただけるのであれば本日そのままお持ち帰りいただけます。」
そう言って見せられた指輪は、ダイヤモンドがついた婚約指輪。
ダイヤモンドの土台のデザインが少し変わっていてオリジナリティもある。
リラの華奢な薬指によく似合いそうだと思った。
「…これにします。」
きっと、生涯で一番高価な衝動買いだ。
トントン拍子で会計からラッピングまで終わり、サイズ直しや刻印の説明をされたあと、ショップ袋に入れられた婚約指輪を手にして店を後にした。
リラを迎えに行くと、驚いた顔して僕を見た。
この顔には、見覚えがある。
リラが生放送で僕に告白してくれたあの日、僕のこの車を見たときのあの顔と同じだ。
そして、この間僕と付き合っていることをカミングアウトした日にも、急に迎えにきた僕を見て同じ顔をしていた。
どうしているの?と言うリラに、ドライブに行こうと思って。なんて濁すと、リラを助手席に乗せてベルツリータワーへと向かった。
すでに営業時間外になったベルツリータワーに平気な顔して入っていく僕を見て、焦るリラが可愛かった。
エレベーターでどんどん空へと登っていくときに貸切だとネタバラシして、展望台について大はしゃぎするリラを見ると、もっと可愛いと思った。
可愛い可愛いとそればかり思いながらはしゃぐリラを見つめていると、リラは子供みたいにはしゃいじゃってごめん。と、少し恥ずかしそうに俯いた。
「どうして謝るんだ?
可愛くて、好きだよ」
そんな彼女に、思ったことをそのまま口に出して笑う僕に、かあっと顔を赤くしたリラ。
もう長い間一緒にいるのに、まるで初めて会った時に見せた顔だ。
あの頃も、可愛いと褒めると決まって顔を赤くしてどんな顔をしていいかわからない。と言ってたな。