【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第48章 都会の光の中で ☆
安室side
3時間前
ポアロのバイトを終えた僕は、RX-7を六本木のテレビ局に向けて走らせていた。
とは言っても、リラの収録が終わるまであと1時間はあるな…
そんなことを思いながら表参道で信号待ちをしているとき、ふと窓の外に見えたショーウィンドウが目に入った。
世界的に有名なジュエリーショップのショーウィンドウに飾られていたのは、眩いダイヤモンドのついた婚約指輪。
思わず近くのパーキングに車を停めると、僕はそのジュエリーショップの扉を開いた。
「何かをお探しですか?」
店内のショーケースの向こう側にいた女性の店員が、僕に微笑みかけてくる。
「いえ…
…婚約指輪のサイズがわからない場合って…皆さんどうされているんですか?」
「少し大きめのサイズを買って、その後にお二人で調整に来店される方がほとんどですよ。
プロポーズはサプライズしたいですものね。」
プロポーズ…
まさかこのタイミングでリラにプロポーズしようと思うとは、きっと数日前の自分は想像すらしていなかった。
というか、1時間前の自分ですら予想してなかった。
けれど、これからのことをちゃんと考えないと。
リラが僕といる選択をしてくれるのであれば、僕はそれなりの覚悟をリラに示すべきだ。
「…いくつか、見せていただけますか?」
「もちろんです。こちらへどうぞ」
そう言って奥のソファー席へ案内されると、手袋をつけた店員が、いくつかの指輪と共にパンフレットを見せてくる。
「ダイヤの大きさや数、あと中に文字を入れるかどうか?もカスタマイズできますよ。
文字入れはご購入後でも大丈夫です。
ダイヤの大きさによっては、納期にも違いが…」
「…今日、受け取れるものはありますか?」
「確認して参ります。」
今日じゃなきゃダメだ、と直感的に思った。
今日を逃すときっと、僕はこれを買ってリラに渡してプロポーズするのを、躊躇してしまう。
そんな気がしたから。