【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第48章 都会の光の中で ☆
わたしのこの選択は、わたしが今まで過ごしてきた、アーティストとしての長い時間を全部否定することになるの…?
「…わたしは…」
「藤さんー!スタンバイお願いします」
「ハイ。
…ま、よく考えろよ。本当にその選択が間違っていないのか。
5年前の自分も、5年先の自分も、その選択肢を選ぶのか、よく考えてみろ。」
スタッフに呼ばれた藤さんはそう言い残して、ひな壇を降りていった。
5年前の自分も、5年先の自分も同じ選択をするか…
5年前なんて、零に出会ってないんだからわからないじゃない。
けれどこの話が来たのが5年前なら、わたしはきっと心の底から喜び、やる気に満ち溢れて海を渡っていたはずだ。
5年後のわたしは…
「Lilaさんー!次スタンバイです。お願いしますー!」
「あっ!はーい!!」
未来の自分を想像しようとしたけれど、ちょうどその時スタッフから号令がかかった。
駄目だ。ちゃんと切り替えないと…
今は収録に集中…
そう自分に言い聞かせて、わたしはひな壇を降りて行った。
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