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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第47章 夢を奪う権利 ☆




零は鋭い。
さすが、公安警察のエース的なポジションにその若さで上り詰めただけのことはある。


「事務所の社長と何か合った?」


核心を突かれたその質問に、わたしは思わず挙動不審な態度をとってしまった気がする。

けれど零には言えなかった。
零に言ったら、きっと行くべきだと言うはずだから。
というか、多分世の中のほとんどの人がわたしにアメリカに行けと言うと思う。

もしも自分の友人や知り合いが同じ問題に直面していたら、わたしだってこう言うだろう。


恋人なんて、新しい地で探せばいい。
夢のチャンスを先延ばしにしちゃダメだよ。

って。


でも、わたしは今までずっとずっと全力疾走で走り続けてきた。
遊びたいときに遊べず、仕事仕事。音楽漬けの毎日。

もちろんそれが好きでやっていたのだけど、今ぐらいすこし遠回りしたい。

零と離れたくない。
零みたいに全てを引き換えにしてでも好きになれる人に、もう二度と出会えない。

きっと今回のチャンスを逃したら、わたしの 世界中へ自分の歌を届ける という夢は、夢のまま終わるだろう。
そして、下手をすれば日本での活動も今まで通りにはいかなくなる。

それでも良かった。

零と一緒にいられるなら、他に何もいらない。
以前、歌えなくなったときそう思ったから。




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