【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第46章 掴みかけた夢 ☆
そして久しぶりのワインをゆっくりと喉を通した。
「んー、このワイン美味しい!」
「でしょ?飲みたいだけ飲んで良いわよ。」
「いえ、明日も仕事だし、もうすぐライブも近いからセーブしないと。」
「あなたは、本当に仕事熱心ね。」
社長はワイングラスに口をつけながら、微笑みながらわたしを見た。
出て来た料理はどれも超一流。
このコース、一体いくらするんだろう…と、ある程度稼いでいるはずのわたしですら思ってしまうような、高級食材がふんだんに使われていた。
前菜、スープ、魚料理、口直し、肉料理、最後にはアントルメ
全て食べ終わる頃にはお腹が満腹。
こんなに食べたの、久しぶりかも…
また明日からセーブしなきゃ…
食欲が満たされたと同時に、食べ過ぎた若干の罪悪感を抱えていると、社長がわたしの思考を見透かしたように笑った。
「大丈夫よ。
あなたなら、ほんの少しふっくらしても、問題なく可愛いわ?」
「いえ…でも、見た目勝負の世界なので。
…社長は、いつもこんな豪華なお料理食べてるんですか?」
「いつもじゃないわよ。
今日はね、特別なのよ。」
「特別?」
意味深に笑った社長に、わたしは首を傾げた。
すると、ナプキンで口元を拭った社長は、一呼吸置いてわたしに本題を話し出した。
「今日はね、あなたに話があってわざわざ時間を作ってもらったのよ」
「話?」
何?何の話?
少しも候補が思いつかず、ぽかんとするわたしを見て、社長は嬉しそうに言った。
「あなたにとって、物凄くいい話。」
そう前置きしたあと、社長の口から思いもよらぬ言葉が飛び出した。
「全米デビューの話が来てるの。
Lila、あなたにね」
「全米…」