【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第46章 掴みかけた夢 ☆
ドレスアップして、山岸さんと一緒にレストランに入った。
さすが高級レストランだ。
中にいる客たちもみんな軒並み富裕層に違いない格好をしている。
もちろん、デニムの客なんてひとりもいない。
ドレス、用意してくれていて助かった…
「お待ちしておりました。山岸様。
社長はすでにご案内しております」
どうやら、もう社長は入店していてVIPルームで待っているとのこと。
そう言われ、店員が案内してくれるのを待つが、社長がいる個室のドアは聞かなくてもすぐにわかる。
黒いスーツにサングラスの男が2人立っているあの扉がきっとそう。
たかが会食に、ボディーガード2人をドアの前に待たせる。
うちの社長の権力の強さがひしひしと垣間見えた。
案の定、そのドアの前に案内されると、わたしは一度深呼吸してドアをノックした。
コンコンッ
「どうぞ」
「失礼します」
まるで、何かの面接のようなやり取りに、思わず無駄に緊張してきちゃう。
お辞儀をしながら中に入り、ゆっくりと頭を上げると、テーブルに座る社長はわたしを見て美しい笑顔で言う。
「久しぶりね、Lila」
もう50を超えているというのに、全然見えない。
きれいな肌と髪に、真っ赤なリップから覗く白い歯。
うちの母も、娘ながらに綺麗だと思うけど、社長はその10倍は美しい。
「ご無沙汰しております」
「少し見ないうちに、随分女の顔になってるわね」
「えっ…!?」
女の顔って、わたしはもともと女なんだけど…
と、社長の言葉の意味がわからないわたしは、特段突っ込まずに自分の席に着いた。
「社長は、いつまで日本に?」
「そうね、とりあえずある案件が片付くまでは日本にいるつもりよ?」
「ある案件…?」
「ええ。
まあでもひとまずは、再会を祝いましょう?
ほら、ワイングラスを持って?
乾杯」
言われるがままワイングラスを片手に持ったわたしは、社長の号令と共にワイングラスをカチャッと合わせた。