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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第46章 掴みかけた夢 ☆




安室side


朝の日差しがカーテンの隙間から入って来て、僕は思わず目を覚ました。

ふと隣を見るとリラはまだ夢の中で、すやすやと寝息を立てている。


「リラ?」

「んー…まだ寝るぅ…」

「仕事は?」

「ある…」


まるで小さな子供みたいに駄々をこねながら、僕の身体にしがみついてくるリラ。

僕だってこうしてリラと寝ていたいけど、今日はポアロでアルバイトして、組織のバーボンの日。

心を鬼にしてリラを起こさないと。


「リラ?起きないとイタズラするよ?」

「…零にならイタズラされてもいいもん」


いいもん。って…
可愛い…

先ほどの決意は一瞬でリラに溶かされ、僕はまたハッとしてリラを揺さぶる。


「リラ?起きたら、ご褒美あげる」

「ご褒美ぃ?」


ご褒美という単語に釣られたリラは、眠い目を擦りながらむくっと身体を起こした。


「よしよし。
じゃあ、ご褒美だ」


僕はそう言って、リラの肩を抱き寄せるとリラの唇に自分の唇を重ねた。

何が、ご褒美だ。
どう考えても、僕へのご褒美なのに。


そう自分に突っ込みながらも、数秒口付けてリラの唇の柔らかさを堪能した。

満足したところでゆっくりと唇を離すと、リラはむーっと顔を膨らませながら僕を睨む。


「一回だけ?」

「何回して欲しい?」

「…100回」

「いいよ…100回しようか…」


リラの冗談すら、本気に変えてしまう僕は、リラにまた何度も何度もキスをした。
数えていないけれど、100は超えている気がする。

結局、起きる時間が30分後ろになったリラは、大慌てで身支度を整え、メイクをせずに家を出て行こうとする。


「じゃあ、わたし行くね?
帰りは多分遅くなると思う!」

「うん。気を付けて行っておいで?
僕も夕食はポアロで済ませるから」


そう言って送り出した。
いつも通り、何の不安も疑問もなく。

まさか今日の夜のたった数時間が、2人の運命を変える引き金になるなんて思って無かったから。




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