【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第46章 掴みかけた夢 ☆
シャワーを浴びて寝る準備をすると、2人でベッドに潜り込む。
零の腕枕に擦り寄って笑うと、零が髪を撫でてくれる。
幸せだ…
自分でも思う。
こんなに幸せで大丈夫?って。
「ねぇ、零」
「ん?どうした?」
こんな風にずっと一緒にいてくれる?
ずっと、わたしのこと好きでいてくれる?
そして、わたしもずっと零のこと好きでいても良い?
零がどこに行っても、わたしを一緒に連れてってくれる?
そう聞きたいのに、重い女になりたくなくて、わたしはその言葉すべてを飲み込んだ。
そして、すぐに違う話題にすり替える。
「ううん?
それにしても、社長と会うの久しぶりだなー!」
「そういえば、社長ってどんな人なんだ?」
そう聞かれ、わたしはうーんと考えながら社長の特徴を羅列した。
「一言で言うと、女帝ってかんじ。」
「女性なんだ」
男性かと思ってた。と言う風な反応を見せる零。
うちの社長は、1代で今のうちの事務所を築いた女帝。
わたしも会うのはこれが2度め。
1度目に会ったときは、まだほんの15歳で、わたしがオーディションに受かったその日に社長との面談があった。
そんなことを思い出しながら、零に社長の話を続けた。
「うん。もともと敏腕プロデューサーで、プロデュースした歌手は軒並みレジェンドになってる。
売れる方法を熟知してるし、今まで失敗した事ないんじゃないかな?
すごいんだけど、目的のためには手段を選ばないって感じの人。
だけど、あの人の選択は絶対間違いなく売れるから、誰も文句言えないの。
だから女帝。」
実際、うちの社長の一声で、人の人生をガラッと変えることができる。
いい方向にも、悪い方向にも。
そんな、底しれぬ力をもった人物だ。
「黒の組織で言うあの方クラスの人ってことか…」
「あの方??誰?」
「あ、あぁ。何でもない。
じゃあその女帝に、明日の夜のリラの時間を取られてしまうわけだから、今のうちに充電させて?」