【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
零がこんなにたくさん自分の話をしてくれるのは初めてで、心底嬉しいって思ったんだ。
「そのあともやっぱり同級生から揶揄われることが止むはずもなく、怪我をしては自分で手当てして、いつも顔に絆創膏を貼ってたな…
そんな時だったんだ。
ヒロに出会ったのは」
「ヒロ…幼馴染って前に言ってたけど、そんなに小さい頃からの知り合いだったんだ」
「うん。…親友だよ。僕の。
ヒロは、僕の見た目をかっこいいなんて言って、孤立してた僕の隣にずっといてくれた。
ヒロは転校して来て初めて出来た友達が僕って言ってたけれど、僕のほうがヒロに救われてたんだ。」
「そっか…会ってみたかったな。
その頃の、零とヒロに」
そんなふうに笑うと、零も一緒に微笑んでくれた。
「そんなヒロと一緒に警察学校に入学した。
そこで、とんでもない奴らに出会ったんだ。」
そう言うと零は、スマホの画面に一つの写真を表示させた。
その写真は、以前見たことがあった。
零の本に挟まれていたものと同じだったから。
「この5人で、いつも一緒にいたんだ。
いろんな困難を、乗り越えて来た」
「…零、今より少しだけ幼いね」
「5年以上も前だからね。
…これが萩原。こっちが松田。
そしてヒロに、伊達班長」
「へぇ…ヒロ以外の3人も警察官なんだよね?
今はどの課にいるの?」
「…いないよ」
「え…?」
「みんな、殉職したから」
零は今まで見たことないぐらい寂しそうな目をしてそう言った。
「僕が大切に思ったひとは、みんな僕の前からいなくなった」
その言葉を聞いて、いてもたってもいられず、わたしは身体を起こして零の頭を抱えるようにして力一杯抱きしめた。