【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
なにも言えなかった。
なんて言葉をかけるのが正解なのか、全くわからない。
ただ零が寂しそうで、悲しそうで、消えてしまいそうだったから、思わず抱きしめて零が今ここにいるのを何度も確かめた。
零はわたしの背中に手を回して、わたしの服をぎゅっと掴むように身体を抱きしめ返してくれる。
いかないで
言葉に出さなくても、そう言ってるように思えた。
「わたしは、いなくならないよ」
「リラ…」
「零よりも、長生きするから…」
そう言って零を抱きしめると、零は安心したように微笑んで、わたしの背中に手を回した。
零。
このとき零は、初めてわたしに零の弱さを見せてくれたよね。
何でも出来て、パーフェクトで、弱みなんてないと思っていた零だけど、そんなこと無かった。
添えられた零の手がほんの少しだけ震えていたことを感じながら、この人を守ってあげたい。
生まれて初めてそう思ったの。
零のそばにずっといる。
それがどれだけ難しいことかわからずに
わたしは最低な約束をした。
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