【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
大好きなチェリーブロッサムの香りがして、僕はリラの身体に抱きついた。
リラの胸に顔を埋める形で、まるで甘えるように抱きつくと、リラはゆっくりと僕の髪を撫でてくれる。
熱で思うように力が出ず、弱々しい力で。
それでも、リラが僕の腕の中にあることを確かめたくて何度も、何度も抱きしめる腕を動かした。
「リラ…」
「はやく、良くなるといいね…」
そう言いながら髪を撫でてくれるリラが好きで、好きでたまらなくて、僕は思わず自分の中にある本音をこぼした。
「リラは…いなくならないで」
「え…?」
僕がそんなことを言うのは初めてのことで、リラは目を丸くしながら僕の方へ視線を落とした。
「…嫌な夢見たんだ…
夢というか…ほとんどノンフィクション」
「…どんな?」
「…そうだな。思えばリラには僕の過去の話はほとんどして来なかったな…」
ぽつりとそう呟いた僕は、抱きついていたリラから自分の身体を離した。
そして、隣で寝転がるリラの顔を同じ目線で見つめながら話を始めた。
僕がこれまで経験してきた、大切な人との別れの話を
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