【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
安室side
リラが作ってくれたうどんを食べると、風邪なんて全部即座に治った気がした。
さっきまでよりも明らかに気分が和らいで、僕は布団の中でゆっくりと目を閉じた。
けれどなぜか眠れなかった。
またあの夢を見るんじゃないか…
僕の前から大切な人が次々といなくなる、悪魔のような夢を。
…いや、夢じゃなくて現実か…
ふっ…と自虐的に笑いながら腕を額に乗せると、まだ少し熱を帯びていた。
「零?」
名前を呼ばれてふと見ると、リラがスポーツドリンクを手に寝室に入ってきていた。
「わたし、今日はソファーで寝るから。
ゆっくり休んで?
ここに、水分補給置いておくから」
「え…」
きっとリラは体調の悪い僕が寝やすいようにそう言ってくれたんだろう。
けれど今の僕にはそれがとてつもなく恐ろしいことに思えて、思わず部屋を出て行こうとするリラの服の裾を引っ張った。
「?零?」
手を伸ばせば、リラを呼び止めることができる。
あの夢の中ではいくら手を伸ばしても誰にも届かなかったのに。
「…一緒にいて欲しい」
そう言って俯く僕は、自分史上一番男らしくない気がして、無意識にリラの裾を引く力をグッと強めた。
そんな僕を見て、リラは優しく笑った後
「わかった。
…じゃあ、一緒に寝てもいい?」
そう言って、ベッドの中に入ってきてくれた。