【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第6章 First kiss
安室さんの吐息がわたしの前髪にかかるほどのゼロ距離で、わたしの心臓がうるさくなり出す。
安室さんの匂いが鼻をくすぐる。
久しぶりに、彼の香りを感じることができた。
どうしよう。
どうしよう、離れたくない
このまま、ここにいたい。
そう思ったのを、必死にかき消した。
「ご…ごめん」
慌ててわたしが身体を離そうとする。
そのとき、離れていくわたしの身体を安室さんの腕がぎゅっと抱きしめた。
まるで、離さないって言ってるようだ。
ドクン…ドクン…
やばい…心臓の音が聞こえそう…
どうして、抱きしめるの?
さっきのあの表情はなに?
聞きたいことがたくさんあるのに、追いつかないほど胸がドクドク高鳴る。
「リラ…ごめん。
…頼むから、振り解いて」
振り解く…
わたしはゆっくり腕を上げて安室さんの身体を突き放そうとした。
でも、出来なかった。
本当はこのまま安室さんに抱きしめられていたいと思ってる自分に、とっくに気づいてたから。
「…リラ…」
暗闇の中で安室さんの声が聞こえる。
さっきよりも、わたしの顔から近い。
徐々に近づいて行く顔の距離に、お互いの吐息が重なった。
そして、そのまま
わたしたちは初めてのキスをした。
安室さんの温かい唇がわたしの唇に触れる。
夢みたいに頭がふわふわして、馬鹿みたいに心臓がぎゅっと苦しい。
数秒口付けしてゆっくり離したとき、電気がパッとついた。
安室さんの瞳と目が合うと、安室さんはバツが悪そうに目を逸らして言う。
「…すみません。
…今日は、ソファーで寝ます」
そう言うと、ぽんぽんとわたしの頭を撫でた後、安室さんはソファーに寝転がった。
安室さんの唇の感覚が消えなくて、一晩中わたしの心臓はうるさく鳴り響いたままだった。