【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第6章 First kiss
どうして、安室さんがヒロのことを聞くんだろう。
そう思ったけど、わたしは馬鹿正直に答えた。
「わたしの、好きな人」
もう、二度と会えないわたしの初恋の人
わたしの、運命の人だったはずの…
それを聞いた安室さんは、眉を歪ませてものすごく切ない目でわたしを見た。
「…どうして、そんな顔するの…?」
まるで、欲しいものを誰かに奪われたときのような顔。
わたしの、考えすぎ?
考えすぎだよね。
だって、安室さんと出会ってまだ1ヶ月も経っていないし、
安室さんは前の彼女のことがまだ好きだって言ってたし。
もしかしてヤキモチを妬いてくれた?なんて、自惚れもいいとこだ。
安室さんの答えを、固唾を飲んで待っていると
その時、ふ…と部屋の電気が消えた。
「え!!?」
「…大雨だから、停電したのかもしれないな」
暗闇の中で、安室さんの声だけが聞こえて、わたしの心臓の音がうるさくなる。
「く、暗くて何も見えないね」
そう言いながら、身体を起こしてベッドから降りようとしたとき、
「動き回ると危ないですよ」
安室さんのその言葉の通り、わたしはベッドの端に手を付いたつもりが、少しずれていたらしく、ガクッと身体が前に倒れた。
「わっ…」
よろけたわたしの身体を、逞しい腕が抱きとめた。