【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
冷却シートを袋から取り出そうと背を向けたリラを、僕は思わず起き上がって後ろから抱きしめた。
「零…?どうしたの?」
「リラ…」
目が覚めた時、リラの顔が目の前にあって、ホッとしたんだ…
それと同時に、目頭が熱くなった。
愛しさと、安心感と、まるで当たり前のようにそばにいてくれることの尊さ。
リラを抱きしめる腕が、無意識に震えていた。
「零…大丈夫?」
「…お腹が空いた」
リラに抱き着いたら、なぜか安心して涙が出てきて、それを悟られないようにワザとおどけてそう言った。
「よしよし。何か作ってくるね?
リクエストある?」
「…リラが、いつも風邪の時に食べるもの」
「わかった!じゃあ、あと少し寝てて?」
そう言って僕に布団を掛け直し、ベッドルームを後にしようとするリラを、思わず腕を掴んで呼び止めた。
「?」
「そこの扉、開けてて…?
リラがいるの、眺めながら寝たい」
LDKと寝室をつなぐ引き戸を指差し、そんな子供みたいなことを言う僕。
リラはキョトンと目を丸くしたあと、ふふっと可愛く笑って僕の髪を撫でた。
「はいはい。甘えん坊さんだね、零くんは」
いつも僕がリラを子供扱いするけど、今日は真逆だ。
少し癪だったけれど、形勢逆転する元気もなくされるがままリラに頭を撫で撫でされた僕。
リラは満足気に微笑むと寝室のドアを開けたままキッチンに向かった。
目が覚めて、リラの顔を見た時思った。
僕がずっと探していた居場所は、きっとリラの隣だ。と。