【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
5人から4人へ
そして4人から3人へ
1枚ずつ花びらが欠けていくような運命を呪ったときもあった。
無情にも、墓参りする先が増えたのに、一緒に手を合わせる人間がひとりまたひとりと減って行ったんだ。
最後に班長に会ったのは、2年前の松田と萩原の墓参りだった。
「班長と、僕だけになったな」
「そうだなあ…警察官って職務上仕方のねえことだが、
降谷は死ぬんじゃねえぞ?俺ひとりで4人分の墓参りは勘弁だぜ」
そんな言葉を交わしたのが最後。
班長はそれから数カ月後に被疑者追跡中の交通事故で亡くなった。
ひとりで4人分の墓参りは勘弁。
そう言った癖に、それを僕に背負わせるのだから、班長も食えないやつだ…
僕の居場所だと思っていたかけがえのないあの桜の花は、花びらとなって散っていった。
5人でいる時の自分が好きだった。
いつも完璧であろうと頑張りすぎてしまう自分が、なんとなく自然体で笑っていられる気がして、心地よかった。
この先どんなに人生を歩んでも、きっと彼ら以上に慕うことのできる友人は出来ないと思う。
流れ星を見るたびに、あの4人にもう一度会いたいと願ったけれど、3回唱える前に流れ星は消える。
そしてまた僕は、ひとりになった。
また暗闇でひとり、4人が守りたかったこの国を守るという使命感だけを頼りに、手探りで必死に前も見えない場所を走り続けてきた。
そんな中、恋をしたのは
僕がこの世で一番憎い男に惚れていた女の子だった。