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【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】

第45章 4枚の桜のはなびら




安室side


この夢を見るのは、久しぶりだった。

暗闇の中で、あの人の声がする。


「コラ。また喧嘩したの?」


そう言って叱りながら優しく微笑むのは、僕と同じ髪の色で、僕と正反対の肌の色をした女医。


「もう次からは手当できないのよ?
先生、遠くに行っちゃうんだから」


そう言われて、僕は必死に彼女の腕をつかもうと手を伸ばしたけれど、子供の手の長さは彼女の腕を掴むには足りず、まるで母親のように慕っていた彼女は、いつしか僕の前から忽然と姿を消した。


暗闇の中、彼女が消えた先に向かって一心不乱に走っていると、子供だった僕の前に現れた一人の男の子。


「ボク、諸伏景光っていうんだ。君の名前は?
どんな漢字書くの?」


初めて会ったとき、諸伏景光はノートにそう書いて僕に見せてきた。

綺麗で純粋で優しい目をした諸伏は眩しくて、僕は返事もせずにぶっきらぼうにノートの切れ端に自分の名前を書いた。
見た目とは程遠い、純日本人の名前を。


降谷零


と書かれた僕の名前を見て、諸伏はまた笑った。
そして、相変わらずノートに続きを書いた。


「ふるやゼロ?」


その文字を見て、僕は思わず声を出して訂正する。


「ゼロじゃなくて、れ・い!」


そう言ったのに、諸伏はまた口に出して返事をせずにノートに文字を書く。


「よろしくね!ゼロ!
ボクのことは景(ヒロ)って呼んでね」

「だから、ゼロじゃなくて…
…まあいいか」


有無を言わせない屈託のない笑顔で笑ったヒロは、僕の手をギュッと握った。


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