【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第45章 4枚の桜のはなびら
しばらくしてドア前のインターフォンが鳴り、急いで玄関ドアを開けると、風見さんの肩に担がれてぐったりした零の姿が目に入った。
「零…!!」
「ん…」
呼びかけても、意識が朦朧としているみたいだ。
「とにかく、中に運びます」
「お願いします…!」
風見さんが零を担いだまま部屋の中に入り、ベッドルームに案内をするとベッドの上に零の身体を下ろした。
改めて零の顔を見ると、熱に浮かされて赤くなっていてそのうえ苦しそうに辛そうに眉を顰めている。
「このところ、張り込みやある事件の調査で公安業務ひとつ取っても多忙な上、潜入捜査にポアロの仕事…
だいぶ無理をされていたんだと思います」
「零…」
このところ、わたしも仕事が忙しくて零の様子がおかしいのに全然気付いていなかった…
一緒に住んでいるのに、零のことちゃんと見ていなかったんだと自責の念に駆られる。
「では、私はこれで。仕事が残っていますので。
降谷さんには、2〜3日は休んでくださいとお伝え下さい」
「ありがとうございます。
風見さんが一緒で良かった…」
ペコリと頭を下げると、風見さんも丁寧に会釈をして仕事へと足早に戻っていった。
きっと零が抜けた分の穴を埋めるのに更に忙しくなるんだろう。
「…とりあえず、おでこ冷やさなきゃ…」
そう思って急いで冷蔵庫を開けたけれど、使えそうなのが保冷剤ぐらいしかない。
仕方なく保冷剤をいくつか取り出し、タオルを水で濡らして保冷剤を包むと、ベッドで眠る零のおでこに乗せてあげた。
「ん…」
突然冷たいものがおでこに乗せられ、一瞬眉を顰めて吐息を漏らした零だが、すぐにスッとまた寝息を立て始めた。
着替えさせてあげたいけど、流石に眠っている零を自力で抱き上げて着替えさせるのは難しく、ひとまず締めていたネクタイを外してあげた。
ワイシャツのボタンを2つほど開けて、首元に流れる汗をタオルで拭ってあげると、少しだけ気持ちよさそうな表情に変わった気がする。
眠ってる間に、冷却シートとかゼリーとか薬とか色々買ってこよう…
そう思ったわたしは、眠る零をベッドにおいたまま本日二度目のスーパーへでかけた。
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