【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第2章 運命を信じる?
「リラちゃん。
俺たち、もう終わりにしよう」
それは、わたしの10回目の恋が終わりを告げたサインだった。
ラジオ生放送の収録が終わり局を出たとき、その局の入り口に、付き合っている俳優の彼が待ち伏せていた。
珍しい。迎えにきてくれたの?と驚きながら彼の後をついていくと、近くの公園で足を止めた彼は振り返ってわたしに別れを告げた。
彼と付き合ったのは、半年前。
初めてのドラマ出演で共演して意気投合し、そのまま付き合うことになった。
まあ、共演者と恋仲になるのはこの業界じゃよくある話だから、なんの特別感もないんだけど。
彼のことが好きだったか?と聞かれると、もちろん好きだったよ?と答えるだろう。
なのに、その思いは伝わらなかったみたいだ。
これまで付き合った歴代彼氏もそう。
いつも同じ理由で振られる。
「リラちゃん、俺のことそんなに好きじゃないだろ?
見ていればわかるよ」
「…ちゃんと、好きだったよ…?
あなたのこと」
そう。好きだったはずなの。
だけど、手を繋いでキスまではできるのに、身体を繋げることだけは出来なかった。
それも、わたしが振られるひとつの原因だと思う。
今、わたしをフッたその彼は夜も遅いと言うのにわたしを公園に置いて一人で立ち去った。
ちゃんと、好きだったのにな…
そんなことを思いながら、わたしは背負っていたギターケースの中からギターを取り出した。
そして、この恋の終わりを曲にする。
もはや、曲を作るために恋愛していると錯覚すらしてしまう。
今回こそ、大丈夫って思ってた。
ずっとこの人と一緒にいるのも、悪くないな…そう思ってたのに。