【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第44章 ラスボスとの初対面
翌朝
朝起きて父が寝ているはずのリビングを覗くと、父はもうすっかり起床していて、帰り支度を進めていた。
「え!お父さん、もう帰るの!?
本当に零に会いにだけ日本に来たの?!」
「あぁ。実は仕事を残したまま飛行機に飛び乗ったもんだから。
帰らないと」
「もう!来る時も帰る時も急なんだから!」
相変わらず破天荒な父に呆れた声を出すと、父はアハハとそれを笑い飛ばす。
「すまんすまん!
今度はちゃんと計画的に会いに来るから」
「お願いだよ?ほんと、いつもそうなんだから…」
わてしたちの親子喧嘩は寝室にも聞こえて来たらしく、起き上がった零が慌てて車の鍵を取った。
「空港まで送りますよ」
「いや、タクシーで帰るよ。
見送りは、マンションのエントランスまでで十分さ」
そう言われるとそれ以上強引に送らせてください!とは言えず、僕とリラはとりあえず服だけ着替えるとリラの父と共にマンションのエントランスまで見送りに向かった。
「タクシー、あと15分ほどで来てくれるらしいよ」
そう言って腕時計を確認する仕草を見せたリラの父は、自分の何もついていない腕を見て声を上げた。
「あ!腕時計、部屋に忘れて来た!」
「もう、そそっかしいんだから…
わたし、取って来てあげる。
どこに置いたの?」
「頼んだよ。
寝る前に外してソファーの近くだと思う」
「はーい」
と、リラは忘れた父の時計を取りに、またマンションの中に戻って行った。