【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第44章 ラスボスとの初対面
零はお風呂から上がってくるなり、さっきわたしが見た光景は誤解だと何度も何度も説明を繰り返した。
たしかに物凄くびっくりしたけれど、お父さんならやりかねない…と思ったわたしは、怒りの矛先を父に向ける。
「ほんと、信じられない!お父さん!?」
「悪かったよリラー。怒らないで?」
「そういう、人との距離を見誤るから、お母さんにも愛想つかされるんだよ?」
「わかってるよ…
でも、零くん、良い身体してた…」
「全然反省してないよね?!?」
と、盛大な親子喧嘩を繰り広げる2人を、僕はぼんやりと眺めてた。
リラがこんな風に快活に怒るのは思えば初めてみるかもな…
いつも大人っぽい彼女が、子供みたいにムキになる姿が、可愛いと思ってしまった。
「さ。もう寝よう?
お父さんはソファーで寝てよね?!」
「えー!零くんと寝…」
何故か僕と一緒に寝たいと言い出す父を、リラはギロッと睨んだ。
「ソファーで寝ます…」
娘に睨まれた父は、すごすごと僕が用意したソファーベッドの上のブランケットの中に潜り込む。
子供を寝かしつけたあとの母親のように、はぁぁ…とため息をついたリラは、僕の手を取って寝室へと向かった。
「ほんと、今日はごめんね?
大変だったでしょ?お父さんの相手するの」
「まあ、お母さんの100倍は強烈だったけど…
でも、君の家族だから」
そう言いながら、ベッドに入った僕はリラの身体をぎゅっと抱きしめた。
「なんだか、恋人の親に会うのって、こんなに緊張するんだなって思ったよ。
お母様に会った時も緊張したけど、今日は一段と」
「…零、もしかしてわたしが初めて?
その…恋人の両親に会うの」
「そうですよ?リラが初めて。」
それを聞いて、リラは嬉しそうに僕を抱きしめ返した。
「零の初めてなんて、もらえないと思ってた」
そう言うと、リラは僕の胸に顔を埋めながら抱きつく力を強める。