【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第44章 ラスボスとの初対面
安室side
3度目となれば、もう慣れた。
住み慣れた自宅リビングが、まるで初めて来る場所の様に緊張するこの感じ。
兄、母に次ぎ、ついに父を招くことになった僕は、テーブルにコーヒーを出す手が震える。
どうしてこの一家は、こうも突然訪ねてくるんだ…
前もって知っていれば、もっと余裕を持って対応できたのに…
と、今現在、絶賛余裕無しの僕に、リラはご丁寧に補足説明を入れてくれる。
「少しややこしいから説明しておくとね、母と父は今離婚してて、別々に暮らしてるの。
結婚していたときは、母の姓を名乗っていたから、雨宮姓は母のなの。」
「な、なるほど…だから世良さん…」
「あぁ。私の母に日本人の血が混じっていてね。」
ニコッとダンディな顔で微笑むリラの父は、男の僕から見ても相当格好良い。
それに雰囲気もおおらかで、娘の彼氏を敵対視するタイプではなさそうだ。
そんな父に、リラはそんなことより!と前置きして問いただし始めた。
「で、お父さんどうして日本に来たの?」
「いやあ、お母さんとお兄ちゃんがリラの恋人に会ったって話をお兄ちゃんから聞いてな。
これはパパもぜひ会ってみたいと思って、はるばるイギリスからやって来たってわけだよ。
昨日の仕事終わりに急遽航空券を取って、そのまま深夜便でね」