【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第44章 ラスボスとの初対面
夜18時。
風見と共にWSGの会場の視察を終えた僕は、米花町の町を車で移動していた。
さっきリラに電話をかけたが、出なかった。
少し心配になったけれど、今日は18時まで仕事だと言っていたから、あまり過干渉になり過ぎるのも…と思い、ひとまずLINEを一本送っておいた。
まあ、タクシー拾うって言っていたし、大丈夫か。
そう思ったのも束の間。
僕は車を運転している進行方向の歩道に、リラらしき人間を見かけた。
「え?リラ?」
凝視した先には、リラらしき人物がトコトコと街中を普通に歩いている。
あの後ろ姿、歩き方、髪型にあの長い脚。
紛れもなく、リラだ。間違いない。
伊達メガネだけしていれば変装できていると勘違いしてるあの僕の可愛くて仕方ない歌姫だ!
と、自分の彼女を頭の中で歌姫と叫んだあと、
「というか、タクシーを拾うって…」
言っただろ…?
あっさりと約束を破ってあの子は…
はぁ…と、ため息を吐きながらリラを拾おうと車を近づけたその時、
リラの背後に見知らぬ誰かが現れ、リラの肩をとんとんと叩いた。
振り返ったリラは、心底驚いた顔をしてその男を凝視する。
「…まさか…」
今朝、ポアロで見たニュースを不意に思い出し、ビビッと危険信号が僕の中に鳴り響いた。
そして、路肩に車を停めると即座に社外へ飛び出し、リラを守ろうと走り出す。
よく見ると、リラに声をかけているのは外国人のようだ。
その男性とリラの間を割るように身体を入れた僕は、リラの肩をぐいっと抱き寄せて守るように後ろに隠した。
「僕の彼女に何か用ですか?」
「れ、零?!え、どうして?」