【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第43章 バーボンよりライなのか ☆
安室side
予想外だった。
何が予想外だったと言えば、いくつかある。
一つ目は、リラがいきなりウイスキーのロックを飲み始めたこと。
しかも、よりによってバーボンではなく、赤井秀一のコードネーム、ライウイスキーだ。
リラに選ばれたのが、バーボンではなくライだったという事実さえ、僕は心底嫉妬してしまう。
それに、リラのイメージ的に果実酒や甘いリキュールを好むと勝手に予想していた僕だったが、見事に裏切られた。
二つ目は、リラと飲み始めてしばらく時間が経過して、只今リラは5杯目のウイスキーロックをゴクゴクと飲んでいる。
が、一向に酔っ払う気配がない。
いたっていつものリラ。
ほんのり顔がピンクになっているけれど、それ以外は普段と何も変わらない。
何なら、リラに付き合って同じペースで飲んでいる僕の方が少し酔っ払ってきたフシがある。
「零、顔ちょっと赤いよ?
酔っ払っちゃった?」
ふふっと笑いながら、僕を上目遣いで見つめてくるリラ。
酒に酔っているせいか、いつもより可愛く見えて頭がクラクラした。
「酔っていませんよ。
次は?何飲む?グラス空いてるよ」
普通に酔っ払っているクセに痩せ我慢して、リラの空いたグラスにおかわりを入れようとする僕。
リラはうーんと考えた後、僕にグラスを手渡してきた。
「ウイスキー飽きちゃったから別のにする」
「なに?梅酒をソーダで割るとか?」
なんて、軽めのお酒を提案した僕だけど、あっさりとリラに返り討ちにあった。
「白ワイン飲みたいー!」
ここにきて、ワイン…
散々ウイスキーをロックで飲んでおいて、さらに白ワインに行くのか…
内心、自分の彼女が実は酒豪だったことに焦りながら、リラのグラスに白ワインを注いでやる。
「ありがとう!零も飲むでしょ?」
「あ、あぁ。」
そう言いながら笑顔でワインボトルを取ったリラは、僕のグラスにも白ワインを注いだ。
まずい…
ただ、酔っ払ったリラが見たかっただけなのに、僕の方が先に潰れそうだ。