【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第42章 探偵ごっこ
そして、藤さんにキスされた手の甲を零がゴシゴシと拭う。
「まったく…油断も隙もない」
「零、わたしが尾行してたことに気づいてたの?!いつから?!」
「入場ゲートの前」
「最初の最初じゃない!!」
と言うことは、今日一日わたしが一喜一憂してたのも気付いてたんだ…
途端に恥ずかしくなってはあぁ…とため息とともに俯くわたし。
そんなわたしの肩を抱きながら、零も疲れた顔して言った。
「ほら、帰ろう?」
「あ、待って。せっかくトロピカルランドにいるんだし、もう少し2人で遊んで帰らない?」
「…僕は、リラと2人きりになれる場所に行きたい」
「じゃあ、あれは?」
そう言って指差したのは観覧車。
「いいけど…いいのか?」
「え?何が?」
「いや。何でもない。
じゃあ、乗ろうか」
「零。…手、繋いでもいい?」
「もちろん。はい。」
優しく微笑んで、零自らわたしの手をぎゅっと握ってくれた。
忘れがちだったけど、こんな風に零と手をつなげるのは、当たり前のことじゃないんだ。
きっと、こうして手を繋ぎたい女の子は山ほどいる。
自分は恵まれていると、今日1日で身に沁みて実感した。
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