【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第42章 探偵ごっこ
お化け屋敷に入った零と小鳥遊さんを尾行して、わたしも藤さんを連れて中に入った。
そして、遠くの方に見える2人を見て、わたしは驚愕の声をひそひそと上げた。
「くっついてる!」
見ると、零の腕にぎゅっとしがみつきながら歩く小鳥遊さんが。
「怖いなら、入らなければいいのに!!!」
むーー!と顔を膨らしながらズンズンと前に進んでいくわたしを、藤さんは目を丸くして見た。
「あんたは怖くないんだな」
「全然怖くない。
お化けより生身の人間の方が怖いでしょ?」
「…可愛くねぇな」
藤さんにそう言われ、わたしはぴくりと眉を動かした。
「お化け屋敷を怖がる女の子の方が、零は好きかな…」
「さあ?少なくとも、全然平気って顔して進んでいく逞しい女よりは好きなんじゃない?」
「…じゃあ、怖い」
「じゃあ怖いって…遅いから」
そんなくだらない言い合いをしながら、わたしはきゃあっと可愛い声を出して零にしがみつく小鳥遊さんをただ見ていることしかできない。
結局、小鳥遊さんが零にしがみついたのは合計8回。
それをひとつ一つ数えていたわたしは、こんなに意地悪な女だったんだと自己嫌悪に陥りながら、藤さんと一緒にお化け屋敷を出た。
外に出ると、零と小鳥遊さんは近くのベンチに腰を下ろした。
それを、ギリギリ声が聞こえるぐらいの距離遠からわたしと藤さんは監視する。
「もう夕方なのに、デートはいつお開きになるの…」
ブツブツとそう言いながら2人を観察していると、小鳥遊さんが口を開くのが聞こえた。