【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第42章 探偵ごっこ
安室side
アトラクションを出てすぐのベンチで、リラの姿を見つけた。
リラがサングラス越しに必死に僕たちを見張っているが、隣の藤さんはベンチの背もたれに腕を回している。
まるでリラを自分の女だと言うみたいに。
「先輩?」
「え?」
「次、お化け屋敷に並んでもいいですか?」
「いいよ。
…それ終わったら、もう帰ろうか」
スマホで時間を確認すると、気付けばもう夕方。
一刻も早くこのデートを終わらせたかった僕は、そんな残酷な提案をした。
「…そうですね。
分かりました。」
そう言って無理に笑う小鳥遊。
僕のことなんて、好きになっちゃだめだよ…
だって、君とデートしているのに僕はずっとリラのことばかり考えてる。
今日着てる服も、君の服装は思い出せないくせに、リラの服装はすぐに思い出せる。
本当に、リラのことばかりなんだ。
お化け屋敷の中に入ると、薄暗くて不気味な雰囲気に小鳥遊は僕の腕をぎゅっと掴んだ。
「腕、掴まっててもいいですか?」
「まあ、そのぐらいなら」
どうせ、これで終わりだし。
そんな風に譲歩しながら、僕はゆっくり薄暗い中を進んでいった。
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