【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第42章 探偵ごっこ
零と小鳥遊さんがミステリーコースターの列に並んでいるのを見て、藤さんはわたしの手を引いた。
「ほら、俺たちも並んで乗ろうぜ」
「や、出口で待ち伏せましょう!」
断固として拒否するわたしを見て、藤さんはニヤリと笑いながら言う。
「もしかして、絶叫系苦手?」
そう。
わたしは絶叫系のアトラクションが大の苦手だ。
いくら零を尾行するためとは言え、あの浮遊感を味わうのは極力避けたい。
「じゃあ、並ぶだけ並んで、建物の中に入ったら列から抜けよう」
藤さんにとっては何のメリットもないこの尾行。
なぜここまでしてくれるのか…
わたしが零のことで必死になるのがそんなに面白いのだろうか…
そんなこと思いつつも、この今の状況を理解してくれる人は他におらず、わたしは藤さんに本音をこぼす。
「藤さん」
「んー?」
「今日の零も、相変わらずかっこいいですよね…」
わたしから飛び出したそんな言葉に、藤さんは呆れた顔してわたしを見た。
「何?突然ノロケ?」
「…服だってちゃんとおしゃれだし。
ジャージとかで来てくれてよかったのに」
「ジャージって…」
「わたし以外の女の子とデートするのに、かっこよくしてきて欲しくなかった」
零は自分では自覚していないみたいだけど、ものすごくかっこいいの。