【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第42章 探偵ごっこ
安室side
「先輩?」
「えっ?あ、あぁ。なに?」
アトラクションに並んでいる時、小鳥遊が僕の顔を覗き込んで名前を呼ぶ。
「なにって…さっきから何度も後ろ振り返ってますけど…何かあったんですか?」
「いいえ?別に何も」
にこりと笑ってそう言ったけれど、何もないなんて、嘘だ。
そう思いながら、僕はまた横目でチラッと後ろを見る。
僕たちの数メートル先に僕たちをチラチラ見てくる人影がふたり。
そこにいるのは、紛れもなくリラだ。
そして、隣にいるのはおそらく…藤亜蘭…
変装のつもりか、トロピカルランドのファンキャップを被り、トロピカルランドのファンシーなサングラスを装着。
一見、頭がおかしい来場者の格好なのに、2人ともスタイルが良いせいで、逆におしゃれに目立ちまくっている。
当の本人たちは、僕が尾行に気づいていることを知る由もなく、僕のことをチラチラと観察しているようだ。
「…尾行するのは大歓迎だけど、どうしてあの男と一緒なのかな」
「え??」
「いや?こっちの話」
思っていたことが全部音になってこぼれたのを、小鳥遊は不思議そうに首を傾げた。
そしてまたあの2人を横目で覗き見ると、なぜかリラの額にデコピンして、ケタケタと笑う藤にリラがぷんぷんと怒っている。
側から見ればイチャイチャしているように見え、イライラする…
なんだよ…
どうして僕より先に、あの男がリラとトロピカルランドデートしてるんだよ…
本当なら、僕の隣にはリラがいて、手を繋いだり肩を抱いたりしていたはずだ。
次はあれに乗ろうとか、お昼は何食べる?とか話しながら、リラが楽しそうに笑うところを見るはずだったのに。
僕の自業自得なのは百も承知だけれど、そんなことを思いながら小鳥遊とミステリーコースターに乗り込んだ。
小鳥遊は僕の隣で終始楽しそうに笑う。
こんな状態の僕とデートして、何が楽しいんだろう。
なんて、普段の僕なら考えないような皮肉すら、頭の中に浮かんでは消えた。
*
*