第42章 探偵ごっこ

じゃ。と手を振ってあの2人を尾行しようとするわたしの腕を、藤さんが面白そうに掴んだ。


「1人より2人でいた方がテーマパークには溶け込めるだろ。
俺も一緒に探偵ごっこに付き合ってやるよ。面白そーだし」


「け、結構です！！探偵ごっこってなんですか！」

「遠慮するなって。面白そうだし」


面白そうと2回も同じことを言うあたり、相当楽しんでるなこの人…
と、わたしは藤さんをジロ…と睨みながら言う。


「冷やかしじゃないですか！
こっちは真剣なんです！」

「女1人でトロピカルランドでコソコソ尾行するつもりか？
不審者と思われて裏口に連れていかれるぞ」

「うっ…」


たしかに、こんなにコソコソしながら尾けてたら不審者と間違われて連れていかれる可能性は大いにある。


「俺と一緒なら、カップルに見えても不審者には見えないだろ？」

「確かに…」


うーん。と、藤さんに論破されかけているわたし。
そして藤さんは、零と小鳥遊さんがパーク内に入ったことを見ながらわたしの手を引いた。


「あ。ほら、さっさと行かないと。」


結局、藤さんの口車にまんまと乗せられたわたしは、慌てて藤さんと一緒に零の尾行を開始したのだった。


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