【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第42章 探偵ごっこ
そこに立っていたのは、なぜか藤亜蘭。
このトロピカルランドという場所には似合わないこの人がなぜ?!
「なんで!ここに藤さんが!!?」
「早朝に開園前のトロピカルランドで、バラエティのロケだったんだよ。
それ終わって、今から帰るとこ。
あんたは?あー、どうせ彼氏とデートか」
「わ、わたしはっ…」
デートじゃなくて見張りですと言おうとした時、藤さんが向こうの方を眺めながら言う。
「ほら、あれあんたの彼氏だろ?」
そう言って藤さんが指差す先には、私服姿の零がスマホを触りながら歩いてきた。
「気付いてねぇな。
おーい」
「は!!だめ!藤さんちょっとこっち来て!!」
零に向かって手を振ろうとした藤さんの腕を、慌ててグイッと掴みながら植木の影に隠れた。
「何で隠れんだよ」
「今日は彼のデートの相手、わたしじゃないんです」
「はあ??
え?じゃあ誰と…」
大混乱中の藤さん。
そんなわたしたちをよそに、向こうから零を呼ぶ声がした。
「せんぱい!」
見ると、可愛らしい格好をした小鳥遊さんが零に手を振りながら駆け寄ってきた。
「すみません!遅くなってしまって」
「いや?僕も今来たところですよ」
そんな、甘いデートの始まりの定型文みたいなことを言い合って、ふたりで笑い合う姿を見て藤さんは隣で楽しそうに笑った。
「ははーー。そういうこと?」
「…1日だけデートしてって言われたんですって」
「ふぅん?随分慈悲深いんだな。あんたの彼氏」
「だから、わたしは今日一日あの2人を見張らなきゃいけないんで!
藤さんさようなら!」