【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第6章 First kiss
「ただいまー」
安室さんからもらった合鍵で中に入り、誰もいない室内にただいまを言った。
もちろん返事はなく、シン…とした静寂が返ってくる。
自分の自宅に帰るときはいつもこうだったんだけど、安室さんと一緒に住み始めてからは、帰宅すると彼がキッチンから笑顔でおかえりと言ってくれることが多かったから、なんとなく寂しい気持ちになる。
「やっぱり、まだ帰ってないか…」
ぽつりとそう呟き、シンとしたLDKのソファーに腰を下ろす。
2週間も経つと、家に入ったときあんなに安室さんの香りがしていたのに、もう鼻が慣れてしまったようで、何の匂いも感じない。
友達よりも、恋人よりも、家族よりも、今、どんどん距離が近づいているのに、また何事もなかったように他人に戻るんだ。
わたしたちは。
この何とも不思議な関係に名前をつけるとしたら何なんだろう。
そんなことを思いながら、とりあえず仕事の疲れを癒そうとバスルームに向かった。