【R18】 Begin Again【安室透/降谷零】
第42章 探偵ごっこ
「…え?もう一回言って?」
20時
自宅のリビングで零に言われたとんでもないことを、わたしは聞こえなかったふりをしてもう一度聞き返した。
「日曜日、小鳥遊とデートすることになりました」
「え…??デートって…え??
…どうして?」
一つも意味がわからず、頭にはてなばかりが浮かぶ。
何でOKしてるの??!
デートすることになったって…彼女がいるのに他の女の子とデートするの!?
軽くパニック状態のわたしに、零はじっと目を見て言う。
「告白されたんだ。彼女に。
リラがいるからって断ったんだけど、一度デートしてくれたら諦めると言われて…
本当にこの一度だけ。それ以降はメールも電話もしないと約束した」
「…そんなこと言われても…
…やだよ。零が他の人とデートするなんて」
「リラ…
もちろん、放っておくこともできる。
けれど、彼女は僕の本名と偽名の両方を知ってしまったから、出来るだけ穏便にさよならしたいんだ。」
そんな理由を言われると、わたしはそれでも嫌だ。なんて言えなくなる。
「…デートしたら、小鳥遊さんのこと好きになっちゃわない?」
「ならないよ。
リラ以外の女の子なんて、目に入ってないから」
そう言って、零はわたしを抱きしめて頬にキスをした。
「ずるいよ零…
いいよ。って言いたくないのに、言わなきゃいけなくなる…」
「ごめん。」
「…絶対に好きにならないって約束してくれるなら、いい…」
口を尖らせて不服そうにわたしがそう言うと、零はわたしの小指に自分の小指を絡めて言う。
「リラだけだ。
約束する」
零とゆびきりげんまんしながら、わたしはもう日曜日のことで頭がいっぱいだった。
ただ零が帰ってくるまで家で大人しく待っているなんて、出来るはずもないのだ。
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